介護職の腰痛は年々増えており、厚生労働省の調べでは、介護の業務上の疾病の約6割を腰痛が占めています。腰痛による休業や通院、入院などは経済的に負担が大きく、介護職の離職にもつながりかねないため、腰痛に悩む介護職を減らす方策が必要です。介護の仕事では前傾姿勢や中腰、腰をひねる動作が多く、それが腰痛の原因となっています。
たとえばベッドから車椅子に移乗させるとき、中腰の姿勢のまま、自分の力で相手を持ち上げようとしてしまいます。またオムツ交換の場合も、前傾姿勢で15分ぐらいかけて行うため、どうしても腰に負担がかかってしまいます。
介護職の姿勢に問題があるのだから、それを正せば腰痛は減るでしょう。まず腰を曲げる姿勢をやめて、体の重心ごと低めに落とすようにすると良いです。また移乗の際にはどうしても相手を持ち上げようとしますが、それでは腰に負担がかかりすぎます。スライディングボードといった福祉用具を用いて滑らせると、安全名上、腰への負担もなく行えます。このように福祉用具を使って移乗を行うことをノーリフトと言い、欧米では浸透しています。ノーリフトについてはこちらの「つらい腰痛に悩む介護士へ」も併せて読んでおきましょう。
また、骨盤矯正ベルトやコルセットなどを使えば骨盤が正しい位置に戻り、骨盤が動くのを防ぐので、腰痛が軽減されます。また電動リフトや、ベッドがそのまま左右に移動して車椅子になる多機能型車椅子などの福祉道具を活用すると効果的です。さらに体操やエクササイズなどで腰回りの筋肉を和らげ血流を促進すると、腰痛予防になります。また、上半身や背中のストレッチ、ふくらはぎや太もものストレッチを行うのも良いでしょう。さらに、ウォーキングで腰の筋肉を鍛えるのも効果が期待できます。